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Eli“Paperboy”Reed×THE BAWDIES =最高にロックでソウルフルな空間!!

THE BAWDIES | 2014.01.06

 2013年12月15日の新木場STUDIO COASTから、Eli“Paperboy”Reedと共に『Eli“Paperboy”Reed × THE BAWDIES JAPAN TOUR 2013』をスタートさせたTHE BAWDIES。このツアーは、17日の名古屋、18日の大阪と3都市のみで行われたプレミアムなライヴとなったが、とにかく、両者のロックン・ロールを愛する熱が、痛いほどに伝わってきた、実に熱量の高いライヴとなった。
 新木場STUDIO COASTといえば、2012年の3月に、THE BAWDIESにとって憧れでもあり、バンドを結成するきっかけにもなったTHE SONICSとの対バンを実現させた思い出の地でもある。彼らにとって、そんな思い出深い会場は、再び忘れることの出来ない思い出を作ってくれた場所となった。

 まず、最初にステージに現れたのはTHE BAWDIES。
 フロアの天井に吊るされた巨大なミラーボールが、ゆっくりと回転し、眩いばかりの光をまき散らし、SAM&DAVEの「SOUL MAN」が鳴り響く中、ROY、TAXMAN 、JIM 、MARCYはスタンバイすると、いつもよりも少し前のめりに音を出し合った。4人は呼吸を整え、定位置に付くと、ROYは初っ端から熱い一言を放った。
「日本でロックン・ロールとソウルミュージックが、こんなにも愛されているということを、みんなでEliに伝えましょうか!」(ROY)
 ROYの声に煽られ、オーディエンスは右手を高く掲げ、大きな声でその言葉に応えた。
 1曲目に選ばれていたのは「YOU GOTTA DANCE」。音に合わせ、高く飛び跳ねながら体を揺らすオーディエンス。ライヴは始まったばかりというのに、相当な熱気だ。どうやら興奮気味なのは、メンバーだけではなさそうだ。
「LONELY MAN」「IT’S TOO LATE」「YEAH」と間髪入れずに攻めた4人は、オーディエンスと共に、最高の景色を描き出していった。独特な色気のある声質で、語尾を伸ばし、唸るような歌唱でオーディエンスを魅了していくROY。ロックン・ロール奏法の基盤をしっかりと軸に置きながらも、個性的な切れ味で音を引っぱるTAXMAN。ROYと息を合わせ、どっしりとしたドラミングで全体の音をキープしつつ、ロックン・ロールならではのノリを生み出していくMARCY。そして。なんと言ってもこの日、いつも以上に狂乱ぎみだったのはJIMだ。まるでロックン・ロールに取り付かれでもしたかのように、体の全身で音を表現し、ステージ上手だけでは納まらず、何度もステージギリギリのところまで身を乗り出すかたちで熱いプレイを届けていたのだった。
「ヤバイ! 今日、超気持ちいい! どうしよう!」(JIM)
 オーディエンスは、興奮気味のJIMの声に、笑い声混じりの大きな歓声を送った。いやいやJIM、いまさら言葉にしなくとも、その感じ、もう充分伝わってます(笑)! そんなオーディエンスの声が聞こえてきそうだった。とにかく。この日は、そんな彼らの“楽しい!”という感情が、溢れて止まらないライヴとなったのだ。

「ありがとう! もうね、Eliも最高ですからね! リハをずっと見てたんだけど、ホントヤバイから! びっくりするよ! なめてちゃダメだよ! ホントすごいから! TAXMANなんてね、今日、興奮し過ぎて朝から鼻血出したんだから!」(ROY)
 これまたいつも以上に興奮気味なROYのMC。これに対し、TAXMANは、いつものペースで言葉を沿える。
「そう。鼻血出たの。びっくりしたよ。興奮してる証拠だなと(笑)」(TAXMAN)
 興奮して鼻血とは……随分とベタな、漫画のような話しだが、なぜかTAXMANというキャラにはピッタリなエピソードだ(笑)。
 すっかり素に戻り、ただのロックン・ロール小僧になった4人は、ここでカヴァーを届けた。MARCYも上着を脱ぎ、本気モードで挑む。レイ・チャールズの「MESS AROUND」、そして彼もカヴァーした「SHAKE A TAIL FEATHER」を間髪入れずに届けると、フロアには、サークルモッシュが出現し、オーディエンスはその中で激しく体を揺らして躍った。
「みんなでこの曲をEliに捧げましょうか!」(ROY)
届けられたのは、「I’M IN LOVE WITH YOU」。“あなたに恋してます”とは、まさに、この時の彼らの気持ちそのものだったと言えるだろう。
 ライヴ中、JIMがROYに耳打ちし、“終わりたくない!”と告げたほど、最高に楽しいSHOWになったのは、同じ歳で、同じ音楽を愛したEliとの出逢いと共演と、ロックン・ロールを愛して止まない仲間との一体感があったから。ワンマンライヴとは違った興奮は、いつも以上に素敵な空間を作り出してくれていた。

 19時18分。艶?の細身のスーツに身を包んだEliが登場した。トランペット、サックス、ドラム、ベース、ギター、そして中央にEli。何の装飾もないステージだったが、その空間は、彼らがステージに立った瞬間、一気に時代を遡った。さすがネイティブ。子供の頃からゴスペルやソウル、ブルースなどが身近にある環境で育った彼の歌からは、魂そのものが感じ取れるような力を感じさせられた。たしかに。ROYがMCで語っていたとおり、最高にヤバイ。大きく構えたドラムと跳ね感のあるギターフレーズ。ホーンがアクセントとなったロックン・ロールを、Eliは、目線をオーディエンスに合わせるように姿勢を低くして歌って届けた。サウンドもさすがはネイティブ。自然と生み出されるグルーヴに、無意識に体がリズムを刻み、スローな「TIME WILL TELL」では、Eliの声をしっかりと胸に刻む時間となった。
 ルーツを感じさせるリズム感でライヴを引っぱるEli“Paperboy”Reed。4人が興奮気味だったのが解る、最高にパワフルなライヴである。
 Eliは曲間に何度も英語でのMCを挟んでいたが、そんな言葉にも即座に反応するオーディエンス。そんなEliのライヴを、THE BAWDIESの4人も客席から、一観客となって観ていたという。THE SONICSのときもそうだったが、彼らは自分たちが聴き手にまわるときは、ロックン・ロールと出逢った時代まで遡り、リスナー目線で純粋にその音を無邪気に楽しむのだ。そんな姿は実に初々しい。発信する側になった今でも、ロックン・ロールに対する感動を持ち続けている彼らを、実に羨ましく思う。
 Eliもまた、同じロックン・ロールを愛する仲間たちの中で、最高の手応えを感じていたに違いない。
 そして。華やかなサウンドと軽やかに声を伸ばすEliの声がとても印象的だった「COME AND GET IT」では、フロアが完全にダンスフロアに変わった。
 ラストに、EliがROY、TAXMAN 、JIM 、MARCYをステージに呼び込むと、Eli“Paperboy”Reed とTHE BAWDIESの大セッションを実現させたのだ。EliとROYのダブルボーカルと、厚みを増したセッションサウンドは、なによりのエンタテイメントだった。

 なにごとにおいても、“ネイティブは越せない”モノである。が、しかし、Eliと声を重ねたROYのボーカルには、ネイティブを越える力があった。THE BAWDIES はこの日、“ネイティブは越せない”という概念を覆してくれたと言っても過言では無いだろう。
 ROYはEliとバンドメンバーに、THE BAWDIESのライヴのラストを締めくくる合い言葉でもある“ワッショイ”を英語で伝授し、全員で手を取り、この日のSHOWを最高に盛り上げてくれたオーディエンスと共に、この特別な時間に“ワッショイ”を叫んだのだった。

【取材・文:武市尚子】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル THE BAWDIES

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1. SHAKE A TAIL FEATHER(Five Du-Tones)
2. WHAT’D I SAY(Ray Charles)
3. GOOD LOVIN’(Limmie Snell)
4. DADDY ROLLING STONE(Otis Blackwell)
5. SPOONFUL(Howlin’ Wolf)
6. DANCING TO THE BEAT(Clarence Murray)
7. THE NEW BREED(Jimmy Holiday)
8. I GOT A WOMAN(Ray Charles)
9. SOMEBODY HELP ME(The Spencer Davis Group)
10. BACK IN MY ARMS AGAIN(Original by The Supremes)
11. SOUL MAN(Sam and Dave)
12. BRING IT ON HOME TO ME(Sam Cooke)

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2013年11月20日

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1.THE SEVEN SEAS
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3.MUSIC IS MY HOME

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セットリスト

Eli“Paperboy”Reed × THE BAWDIES JAPAN TOUR 2013
2013.12.15@新木場STUDIO COAST


THE BAWDIES
  1. YOU GOTTA DANCE
  2. LONELY MAN
  3. IT’S TOO LATE
  4. YEAH
  5. LEMONADE
  6. MESS AROUND
  7. SHAKE A TAIL FEATHER
  8. I’M IN LOVE WITH YOU
  9. THE SEVEN SEAS
  10. MY LITTLE JOE
  11. ROCK ME BABY
  12. HOT DOG
  13. KEEP ON ROCKIN’
  14. A NEW DAY IS COMIN’

Eli“Paperboy”Reed
  1. SATISFIER
  2. NAME CALLING
  3. WELL,ALLRIGHT NOW
  4. GROWN UP
  5. EASIER
  6. STAKE YOUR CLAIM
  7. TAKE MY LOVE/YOU CAN RUN ON
  8. GETCHA BACK
  9. TIME WILL TELL
  10. NOT EVEN ONCE
  11. SHOCK TO THE SYSTEM
  12. COME AND GET IT
  13. EXPLOSION

お知らせ

■ライブ情報

"HOT STUFF 35th Anniversary Live" ストレイテナー×THE BAWDIES
2014/02/20(木)Zepp Tokyo

ビクターロック祭り 〜音楽の嵐〜
2014/02/22(土)幕張メッセ国際展示場 9〜11ホール

〜The 10th Anniversary〜 Like a Rockin’ Rollin’ Stone Tour
2014/06/05(木) 仙台 RENSA
2014/06/07(土) Zepp Sapporo
2014/06/11(水) Zepp DiverCity TOKYO
2014/06/12(木) Zepp DiverCity TOKYO
2014/06/15(日) Zepp Fukuoka
2014/06/17(火) BLUE LIVE 広島
2014/06/18(水) 岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
2014/06/21(土) 金沢 EIGHT HALL
2014/06/22(日) 新潟 LOTS
2014/06/25(水) Zepp Namba
2014/06/26(木) Zepp Namba
2014/06/28(土) Zepp Nagoya

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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