前へ

次へ

Hilcrhymeの“第2章”のスタートともいうべき渾身のツアー

Hilcrhyme | 2015.05.29

 Hilcrhymeの、ニュー・アルバム『REVIVAL』を引っさげてのツアー・ファイナルが、5月17日に東京・NHKホールで行なわれた。“REVIVAL”とは、“復活”とか“再生”といった意味を持つ言葉だが、そのタイトルどおり、彼らの“第二章”の始まりを告げるともいうべき、新しい要素がふんだんに散りばめられた内容となっていた。

 TOCとDJ KATSUの2人がステージに登場し、『REVIVAL』でも1曲目に収録されていた「New Era」から、コンサートはエネルギッシュにスタートした。そして「FLOWER BLOOM」「パーソナルCOLOR」と、彼らのヒット曲が続けて歌われ、彼らのライブではすっかりおなじみになったダンサー・チーム“THUG-HOMEY”と“CLOP”による“Hilcrhyme Crew”も加わり、会場は冒頭から一気に盛り上がっていく。

 続いては、女優の田野アサミが出演する、ストーリー仕立ての映像をバックに、「The Woman In The Elevator」と「BAR COUNTER」という、“妄想系ラブ・ソング”が歌われるという、これまでにはなかった演出もあった。そしてここで、彼らの飛躍のきっかけとなった「春夏秋冬」が歌われ、続く「鼓動」では、前半は右上方からのスポットライト1本だけ、後半はステージ後方からの照明だけで歌うという、これまで凝ったビジュアルと共に展開してきた彼らのステージングにも変化を感じさせる内容になっていた。

 そしてここから、ソロ・コーナーへと進んでいく。まずはTHUG-HOMEYとCLOPのダンス・パフォーマンスが披露され、そこからDJ KATSUの「R2」へと続いて、彼のDJプレイやキーボード・プレイなどがフィーチャーされ、そこにまたダンサーが絡んでいくというアプローチが展開された。続いてTOCがソロでステージに登場し、昨年末にリリースされたソロ・アルバム『IN PHASE』から、「Swag in my skill」「夜クライム」「Bird」の3曲が歌われた。Hilcrhymeのポップなテイストとは異なり、ハードなサウンドをバックに、ラッパーとしてのスキルの限界に挑むような“攻め”のパフォーマンスが強烈だった。また彼自身がDJブースに入ってサウンドをコントロールするなど、アーティストとしてのチャレンジ精神に溢れたステージだった。

 ここでハーフタイムとなり、メンバーたちのMCに加え、観客に拡声器を渡して、ステージ上と会話をするなど、ファンを大切にしてきたHilcrhymeらしい楽しいコーナーがあり、そしてここから、怒濤の後半戦へと突入していく。「続・押韻見聞録 -未踏-」「EAST ASIA」「NOISE」と、彼らの姿勢を表現しているハードなナンバーを立て続けに畳みかけ、さらに、久々に歌ったというファースト・アルバム『リサイタル』に収録されていた「雨天」と「LAMP LIGHT」を披露するなど、より幅広い選曲を展開し、“新潟で撮った、新潟にいるオレたちにしか作れない映像です”というTOCの言葉と共に、最新シングル「YUKIDOKE」がビデオ・クリップと共に歌われた。そしてさらに「大丈夫」「ルーズリーフ」「エール」と彼らのライブの人気曲が歌われ、「トラヴェルマシン」がDJ KATSUによるニュー・リミックスのトラックで披露されて、ダンサーたちが客席で踊るなど、会場がひとつのダンス・フロアのような盛り上がりを見せていく。そしてラストはイケイケのサマー・チューン「Summer Up」。TOCも客席に降りてきて歌い、コンサートはパワフルに、そして最高潮に盛り上がって、大興奮の中終了した。 さらにこの日は、他会場ではやっていなかったアンコールに応えてメンバーが再びステージに登場し、2011年8月からライブを共にしてきたTHUG-HOMEYとCLOPが、この日をもって、Hilcrhymeのライブから“卒業”することが発表され、彼らが初めて共演したライブでの最後の曲「パーソナルCOLOR」をパフォームするという、サプライズもあった。

 全体的に、映像などのビジュアル的な表現はやや控え目になり、2人のパフォーマンスを中心とした楽曲の表現力をより高めていこうという、彼らの思いのようなものが伝わってきたコンサートだった。Hilcrhymeというユニットを、さらに強固に、そしてより大きなものへと進化させていきたいという、彼らのチャレンジ精神が十分に発揮され、その一方で観客との一体感はさらに増して、ファンを思いっきり楽しませようという意欲も伝わってくる、充実のステージだったといえるだろう。“Hilcrhymeは今、最高の6周年を更新中です”とTOCは語っていたが、Hilcrhymeの進化はまだまだ止まらないぞ、という彼らの思いがストレートに伝わってきた、熱く、楽しく、感動的なツアー・ファイナルだった。

 なおこの日の模様は、7月1日にDVDとしてリリースされる予定になっている。

【取材・文:熊谷美広】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル Hilcrhyme

リリース情報

REVIVAL(初回限定盤)[CD+DVD]

REVIVAL(初回限定盤)[CD+DVD]

2015年03月25日

ユニバーサル ミュージック

[CD]
1. New Era
2. 続・押韻見聞録 -未踏-
3. FLOWER BLOOM
4. Spirit Of Love ※Sing Like Talkingのカヴァー
5. 鼓動
6. YUKIDOKE
7. The Woman In The Elevator
8. R2 (Instrumental)
9. Summer Up
10. トラヴェルマシン (DJ KATSU Electro Remix)

[DVD]
・New Era (Music Video)
・Documentary of 『Hilcrhyme Tour 2015「イッタコトナイ。」』-Introduction Part 2-

このアルバムを購入

セットリスト

Hilcrhyme Tour 2015 REVIVAL
2015.5.17@東京NHKホール

  1. New Era
  2. FLOWER BLOOM
  3. パーソナルCOLOR
  4. The Woman In The Elevator
  5. BAR COUNTER
  6. 春夏秋冬
  7. 鼓動
  8. THUG-HOMEY & CLOP Dance Performance~R2(Instrumental)
  9. Swag in my skill ※TOCソロ
  10. 夜クライム -Short Ver.- ※TOCソロ
  11. Bird ※TOCソロ
  12. 続・押韻見聞録 -未踏-
  13. East Area
  14. NOISE
  15. 雨天
  16. LAMP LIGHT
  17. YUKIDOKE
  18. 大丈夫
  19. ルーズリーフ
  20. エール
  21. トラヴェルマシン(DJ KATSU Electro Remix)
  22. Summer Up
Encore
  1. パーソナルCOLOR

お知らせ

■ライブ情報

「茨城県音楽祭 Vol.3」in ケーズデンキスタジアム水戸
2015/07/19(日)ケーズデンキスタジアム水戸

Hilcrhyme LIVE 2015「白昼夜 at 大阪城野外音楽堂」
2015/08/23(日)大阪城野外音楽堂

ナオプラン祭2015
2015/12/27(日) 新潟・新潟テルサ

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

トップに戻る